職場のコピー機は、コピー・プリンタ・スキャナー・FAX機能等を備えた複合機で、
各人のICカードをかざして認証を受け、ログインしなければ使えないように
なっている。
ICカードは、オフィスに入る際のセキュリティカードも兼ねていて、皆
だいたい首からぶら下げている。
そのカードを、腰より少し上くらいの低い位置にある読み取りパネルにかざすので、
どうしても上半身をかがめるような格好になる。
コピー機に向かっていちいち深々と頭を下げなければ、
コピーとかPCデータの印刷ができないのである。
しかも、この機械はトロいところがあって、ICカードがちっとも認識されずに
なかなかログインできないことがあって、
何秒間もずっと頭を下げっぱなし・・・ということも時々起こる。
いったいこの機械、何様なのだ。
だが、こちらは人間である。
いちいちお辞儀を強いられるからといって、機械ごときに腹を立てるようでは
いけない。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな・・・」 とかうそぶいていたところ、
飲み仲間のS名氏が言った。
『いや、実ってないだろ。それより、奈良公園の鹿にでもなった気分だよな~』
・・・ ″鹿せんべい” をもらうためにペコペコお辞儀する、奈良公園の鹿である。
コピー機に ”鹿扱い” されるとは。
ますます腹立たしい。
* * *
出勤途中に。
蝶は、ひらひらとやってきて、何故か路面に着地。
しばらくじっとしていたり、羽を見せたりして、こちらがデジカメのシャッターを
切り終わると、また去っていった。