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yurikamomeの日々


カムチャッカの旅 (3) ~ 観光第一日目(のはず)

 【停電と朝食】

カムチャッカ到着翌日、ホテルの朝は、停電で始まった。
朝食へ向かうために部屋で身支度をしていたら、突然部屋の照明とテレビが
消えたのである。4階の部屋からレストランのある1階まで行くエレベータも止まって
しまった。まあ、下りだから歩きで降りても構わないが、階段がどこにあるのか・・・
ようかく階段は見つかったが、1階のへんな所に出てしまってレストランがどこか
さっぱりわからない。同泊の女性Oさんと一緒にさんざん困って歩き回りながら、
やっと朝食会場に辿りついた。

朝食が始まってもまだ停電していたので、レストラン室内は薄暗く、お湯も沸かせないと
いう。しばらく経って復帰し、明るくなったが、優に1時間近くは停電していたのではないか。
しかしこんなのは、こちらではきっと日常茶飯事なのであろう。

レストランのテーブルクロスや食器は、黄色・青・オレンジ色と言った配色で、卓上の
紙ナプキンも、黄色いのと赤いのがあって、私の同泊者の女性が驚いていた。
 「こういうのって、普通日本の感覚では白よねぇ。」
 「きっとこちらは冬が長くて寒いから、せめて食卓だけでもこういう暖かい色が
 ほしくなるのよ」
などと話がはずんでいる。

食後にコーヒー・紅茶が出てきたが、カップも上記した色が使われており、
しかもカップと受け皿が互いに違う色になっている。
こういう色彩感覚が、ロシア的なのだろうか。

 ※全期間を通して宿泊した、ペトロパブロフスク・ホテル。
カムチャッカの旅 (3) ~ 観光第一日目(のはず)_f0071144_19323368.jpg



 【朝食後の散歩、そして・・・】

朝食が終わり、観光1日目のこの日は、ヘリコプターで南カムチャッカの火山の上を
飛び、“野生の宝庫” クリル湖へ向かうことになっていた。
だが、気象条件その他が飛行に支障ないかどうか、ヘリの出発地に確認が必要という
ことで、ホテルでしばらく待たされることになった。

ホテルでじっとしているのもつまらないので、同泊のOさんも含め何人かで、ホテルの
周りを散歩した。抜けるような青空の下、見たことのない花が沢山咲いている草地の間を
通ってしばらく歩いていくと、湖に出た。

 ※湖をバックに撮ってもらった。(恥ずかしいので写真は超ちっちゃくしました)
カムチャッカの旅 (3) ~ 観光第一日目(のはず)_f0071144_19354040.jpg

午前10時までにホテルに戻るようにと言われていたので、もと来た道を引き返し戻って
みると、いや実は先ほどの問合せの結果が昼にならないと分からないらしいです、だそうで
ある (まったくこの辺のアバウトさは・・・・)。

そこでスケジュールが少し変更になり、二日目の予定であった市内観光を先に行う
ことになった。

【ロシア正教会】

添乗員・ロシア人ガイドと共に私たちはバスに乗り込み、程なくロシア正教会に着いた。
が、なんとその時、教会の中ではお葬式が行われていた。
というわけで教会の中には入れないので、外で教会に関する説明を聞いた後、中を少し
覗かせてもらった。

室内からは賛美歌のような美しい歌声が聞こえていた。
亡くなった方の前に牧師さんが厳かな表情で立っている。
亡くなった方は、棺などに入っているのではなく、こちらからも見えるベッドのような台の
上に横たわっていた。(それで私はちょっとびっくりしてしまった・・・。)

その、厳かな中にも甘美な場の雰囲気は、悲しみというよりも、彼が神のもとへと行ける
ことへの祝福のようであった。

我々が見ていたのはほんの僅かな時間だったと思うが、その間、そしてその後しばらくの
間、私の中では多くの思いが駆け巡っていた。
人間が他者の死に際し、もう何も見聞き出来ないその身体を謹んで扱い、祈りを
捧げるのは何故か。
それは、死という現象が自分たち人間には計り知ることのできない、何か畏れるべき
存在によってもたらされているという感覚から来るものであろう。
その畏れるべきものが、各宗教における神であったりするに違いない。

私は特定の宗教を信仰してはいないし、ある人格を持った存在、全知全能の存在として
神を信じている訳でもない。
ただ、この宇宙の苛酷な環境の中に生命が誕生し、存在し続けて何処かへ向かっている
事実について、人智を超えた力がいわば意思のような方向性を持って働いていることを
感じずにはおれない。
それを、私は神と呼んでもよいと思う。

“神” が何故この世界に生命をもたらしたのかは解らないが、とにかく私たち人間に限らず
凡そ生命体というものは、死を怖れ、自らの命を懸命に生きようとするように作られて
いる。だが物理的な制約上、個々の命には限りがあるので、子孫を残したり進化・淘汰に
よって形態を変化させていったりする。
ということは、この世界に、多種多様な形態をとりつつも生命が永く存続し続けることが
“神” の意思に合致することになろう。

そして生命が “よりよく” 存続し続けることの条件を、人類、さらには個人のレベルまで
落とし込んでみると、それは
 『身の回りの事や仕事をきちんとする』
 『他者を敬い大切にする』
 『自分の能力を高め、それを良いことに使う』
といったことに行き着きそうだ (その他にも色々あろうが。)
これらは考えてみれば、各地各国で子供への躾の元になっている考え方でもある。

だから、私たちが幼い頃からああしなさい、こうしなさいとウルサく躾けられて来た
事柄は、神の意思に適った生き方をすることにつながっていたのである!

・・・・・ 旅行記を書いていたつもり、とんでもない所へ話がいってしまった。
とにかく私は、上のようなことを教会を出てからもしばらくバスの中で考え続け、
これからの人生、何が起ころうとも日頃の意識をより高く持って、自分をあらしめている
“神” の意思に適う生き方をしなければなるまいな、などと強く思ったのであった。

というわけで、まだ観光一日目のメインイベントであるヘリの旅にすら行き着いていないが、
疲れたので、以下、次号。

(注:カムチャッカへ行って、神がかりになって帰ってきたわけではありません。)

 ↓ ロシア正教会の外観。
カムチャッカの旅 (3) ~ 観光第一日目(のはず)_f0071144_19453346.jpg

by yurikamome0403 | 2007-08-13 20:07 | ☆07年 カムチャツカ紀行 | Comments(5)
Commented by bulbul at 2007-08-14 07:09 x
 こちらは千曲川の源流あたりへ行ってた3日あまり。なんだもう帰ってたんか、ヘリなんて言葉も散見されるけど、ロシアの研究者の漏らしたグチを思いだす。ヘリでないと調査には行けない、でも一度飛ぶと 300万、どうして捻出できるんだ !! みたいな、
Commented by yurikamome0403 at 2007-08-15 22:49
そうですね、あの土地では研究ひとつするにしても大変だな、と思いました、
Commented by ちょびふく at 2016-07-01 21:07 x
偶然見つけて読ませていただきました(*^^*)
身の回りのことや…という部分、とても感銘を受けました。ありがとうございました!
Commented by ちょびふく at 2016-07-01 21:08 x
偶然見つけて読ませていただきました(*^^*)
身の回りのことや…という部分、とても感銘を受けました。ありがとうございました!
Commented by ちょびふく at 2016-07-01 21:08 x
偶然見つけて読ませていただきました(*^^*)
身の回りのことや…という部分、とても感銘を受けました。ありがとうございました!

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