合宿の2日目、8月29日(金)。
寝不足でつらかったが、仕事なので我慢して委員会の会合に臨む。
気合で何とか寝ないで済んだ。
(ホテルの玄関からの眺め。)
合宿のスケジュールは昼で終わり、解散となった。
多くの人は空港までの送迎バスに乗って早々と帰ってしまうらしい。
最寄駅まで送ってくれる車もあったが、私はとりあえず残ることにした。
バスを見送ると、ほかにも何人か残っている人がいる。
彼らは、これからレンタカーで観光する予定だそうだ。
ついでに駅まで乗せてくれるというので、最初は 「歩いていくから」 と遠慮したが
結局乗せてもらうことにした。車が来るまでの間、ホテルの玄関前やロビーで
レンタカー組の人たちと土産物を見たりしてのんびりと過ごす。
これから鉄道でゆっくり熊本方面を目指す、という私に、ガイドブックを見ていた人が
「これから乗る電車ってこれですか」 と地図を見せながら訊いてきた。
『南阿蘇鉄道』 ・・・・。
ちょっと違うな、と思いつつ、気になったのでガイドブックを見せてもらった。
熊本方面への列車を途中で乗り換えて、阿蘇山の南側へ回っていくルートらしい。
そして、南阿蘇鉄道の終点近くに、高千穂の地名を見つけた。
小学生の頃、図鑑で 『高千穂峡』 の写真を目にしたことがある。
深く澄んだ水を湛えた谷間を濃い緑がいろどり、この世の天国のように見えた。
なんて美しい景色だろう・・・と激しい憧れの気持ちを抱いたのを思い出した。
何十年ぶりかの願いを叶えるために、行ってみようか。
レンタカー組にJR阿蘇駅まで送ってもらい、駅で南阿蘇鉄道の時刻表が乗っている
冊子をもらい、行動計画を立てる。
今日は南阿蘇鉄道の終点・高森まで行って泊まり、明日高千穂までのバスに乗るのが
よさそうだ。
その高森という所に、一人でも泊まれるような宿はあるのだろうか・・・?
と気になったので、観光案内所で訊いてみたら何箇所かあるようで、連絡先を書いて
もらった。
列車が来るまでの間、阿蘇駅周辺を散歩してみた。
阿蘇駅ホーム。
14時46分発、豊肥本線熊本行きの列車に乗り、南阿蘇鉄道乗り換えの立野駅まで。
山に囲まれた土地を列車はのんびりと進んでいった。
カルデラの中を通っているらしいが、見ているだけでは、どこがどうカルデラなのか
いま一つ分からない。
それでも、起伏に富んだ地形は見ていて飽きることがなく、鉄道からの眺めでこれ
以上に良いものは見たことがないと思った。
阿蘇駅から数十分で、立野駅に着く。
勾配の険しい地点のため、スイッチバックにより列車の進行方向が変わった。
立野駅で乗り換えた、南阿蘇鉄道。
南阿蘇鉄道からの眺め。
だんだんと標高が高くなり、立野から約1時間で終点・高森駅に到着。
駅の周りは、私が想像していたよりも開けていたので、ちょっと意外であった。
だいたい、よく知らない田舎の土地に来ると ((なんにもない!)) と驚愕するケースが
多いので・・・・。
(高森駅前にはSLが展示されていた)
まずは駅の周りを歩き回って、翌日高千穂へ行くためのバスが出ている場所を確認した。
それから、宿をさがす。
観光センターみたいな所で get した地図に、阿蘇駅で聞いた宿の一つが載っていた
ので、歩いて行ってみた。
途中で、デジカメの電池とメモリーカードの容量が足りなくなりそうだったので、その
へんの写真屋に入った。
店のおばちゃんは、「旅行ですか? このあたりは朝晩寒くなるから気をつけてね」 と
言ってくれた。
やはり、田舎の人たちは (私のよく行く東北以外でも) 親切な人が多いと感じる。
宿は、ユースホステルと旅館を兼ねたものらしいが、普通の民家とあまり変わらない
佇まいだった。
夕食・朝食付きで一泊8000円。
高いのか安いのかよく分からないが、食事つきならまぁリーズナブルなところだろう。
宿の食事は、これまた普通のおうちの食堂みたいな部屋で頂くことになったが、
これがなかなか美味しかった。
あたたかい家庭の味が更に洗練されたような感じだった。
前日に合宿で泊まった阿蘇のリゾートホテルに比べると雲泥の差でおいしい。
・・・ところで、今回の旅では、残念ながら書いていて面白い(?)アクシデントの
ようなものが殆どなかったのだが、しいて挙げれば一つだけあった。
なにしろ民家に毛が生えたほどの旅館なので、浴室は男風呂・女風呂に分かれていない。
内側から鍵を掛けて入浴していたら、不審に思ったらしい他の男性客が、窓のほうに
回って開けてしまったのである。
覗き目的でないことは、彼が発した 【すみません、ごめんなさい!】 の言葉に、
“マズいもの(!?)を見てしまった” という響きが感じ取れたことからも確かであった・・・・・。